先週末、東京銀座・松屋に「ナーディル・ギュル」というトルコの老舗菓子店がオープンしたそうです。
このニュースを伝える記事を読んで思い出した、トルコの思い出。
もう10年以上前のことですが、友人を訪ねてトルコの首都・イスタンブールへ行きました。
イギリスへ到着した翌日から私が4週間ほど通った語学学校には多くのトルコ人生徒がいましたし、語学学校だけではなくイギリスには多くのトルコ人が住んでいます。
イギリスとトルコはアンカラ条約という特別な協定を結んでおり、トルコ人は比較的簡単にイギリスのビザや永住権を獲得することができるらしいのです。
トルコの人たちは親日家が多く、日本ではあまり知られていないエリトゥールル号の事件も多くのトルコ人が知っていて、日本人と知ると親切にしてくれる方が多いです。
そんなイスタンブールでトルコ人の友人が連れて行ってくれた、バクラバで有名なお店。
バクラバというのは中東や中央アジア、地中海沿岸などで食べられているスイーツです。
幾層にも重ねられたパイ生地にくるみやピスタチオ、アーモンドなどのナッツ類を挟んで焼き上げ、シロップをたっぷりかけます。
ロンドンでは大きなスーパーやオフライセンスショップで売っているのを見かけます。
トルコ・イスタンブールでバクラバのお店へ行く前にもロンドンで食べたことがありました。
正直言うと、ど甘くて、噛むとねちゃねちゃとシロップ漬けになったパイ生地が歯にまとわりつく…好んで食べたい!というわけではないお菓子という印象でした。
友人が連れて行ってくれたのは、カラキョイ・ギュルオールという老舗店。
そうです、銀座松屋にオープンしたナーディル・ギュルのオーナーが営むお店です。
お店でずらっと並ぶバクラバやスイーツを見ていると
「きみ!!日本人かい?」
と、太っちょのおじさんが話しかけてきました。
私がうなずくと、興奮してトルコ語でなにやら言っています。
友人が訳してくれたところによると、おじさんはこのお店で働く人で、ちょうど前日に日本のテレビ局がこのお店の取材に来たそう。
日本人がいかに礼儀正しいか、いかに良い人間か、ということを熱く語ってくれています。
そしてそのテレビ局の取材スタッフへのプレゼントにと、日本とトルコの友好関係を示す箱に入った「バクラバ・ボックス」をたくさん作ったとのことでした。
そして私と友人に
「持っていきなさい!!」
と数箱くれました。
前日のテレビ局のスタッフさんたちの態度が良かったのか、それともこれまでおじさんの出会った日本人がみな良い人だったのか、なにせ先人たちのおかげで歓待されました。
さすがに箱入りバクラバをいただくだけでは申し訳ないので、お店で本場のバクラバを購入。
口に入れてビックリ!!
私がロンドンで食べたことのあるどのバクラバとも違いました。
噛むとパイ生地からシロップがじゅわんとしみ出してくるのですが、甘いけれど重くない。
パイ生地はシロップ漬けになっているはずなのに、なぜかサクサク感も失っていない。
これぞ老舗…!!
ロンドンで食べたことのあるお菓子だったからこそ、違いがわかり感動しました。
イスタンブールでこのバクラバを食べて以来、もう一度あの味が食べたくてロンドンで何度か購入してみましたが、シロップ漬けなのにサクサク、甘すぎずに軽い、あの味にはまだ出会えていません。
バクラバ・ボックスを何箱もくれた太っちょのおじさんですが、実は日本のメディアで紹介されているカラキョイ・ギュルオールの5代目、ナーディル・ギュルさんご本人でした。(そうです、銀座松屋にオープンするのは彼の名前のお店です。)
日本人がどれだけ良い人種か本当に熱く語ってくれて、なおかつ気前のいいおじさまだったので、日本のお店が成功するといいなぁ。
ただ今回、日本でのお店オープンの記事でお値段を見て少々ビックリ。
なにせ10年以上前のことなので記憶が定かではないのですが…1つ約500円もしたっけ?💦
お気軽に試せるお値段ではないですが、自分へのご褒美や大切な方への贈り物にどうぞ☆
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