アンチ母の日

希海のぼやき雑記

イギリスと日本の母の日は異なります。

日本では毎年5月の第2日曜日ですが、イギリスでは

「イースター(キリストの復活祭)の40日前の水曜日から数えて4週目の日曜日」

ということになっています。(めっちゃややこしい!)

イースター(復活祭)は太陰暦に基づいているので、イギリスでは

「3月22日~4月25日のいずれかの日曜日」

と、年によっては1か月も期間が異なります。

今年、2022年のイースター(復活祭)は4月17日なので、その40日前の水曜日は3月2日。

…と言いたいところですが、実際に数えてみると4月17日の40日前は3月9日。

「なんだよ、1週間ずれてんじゃん!」

でもこの記事を書くため、”ムキーーーッ怒”となりつつ調べると、この40日間のうち日曜日は数えないそう。

すると確かに4月17日の40日前(日曜日を除く)は3月2日。

3月2日の週から4回目の日曜日は3月27日。

ということで、2022年の母の日は3月27日となります。

 
1週間ほど前ですが、ボディショップから届いたメルマガ件名を見て驚きました。

「母の日についてのメルマガを停止したい?」

開いてみると、内容はこういったものでした。

母の日のことは聞きたくない
みんなが母の日のことを聞きたいわけじゃありませんよね。
もしあなたが母の日関連のメールを受信したくなければ、受信しなくても大丈夫です。
下の停止ボタンをクリックしてください。
母の日関連以外のメルマガはこれまで通り届くのでご心配なく!

私にとっては衝撃的でした。

正直、少し希望の光さえ感じました。

詳しく書くと止まらなさそうなので簡単に書くと、私は母親の暴力から逃れて今ロンドンに住んでいます。

だからこのメルマガを読んだときに思ったのは、環境保全や動物愛護・人権保護に力を入れているボディショップだから、母親に対して辛い経験を抱えている人を考慮しての配信停止メッセージなのだろうということでした。

日本でもイギリスでも母の日というのは当たり前すぎて、母の日関連のものを見たくないという考えに私は至っていませんでした。

正直、見ないようにはしていましたが、それが止められるものとは思っていなかったからです。

しかし、今回のメルマガを見て希望の光のようなものを感じてしまいました。

「痛みを突き付けられなくていいんだ」

「辛い経験を思い出さなくていいんだ」

こんな選択肢があったんだ。

このメルマガを見た時からこの件について記事を書きたいと思っていました。

 

 
書きたいと思いつつ、書かずに早1週間が経った今日。

「母の日のEメールを配信停止する?」

という新たなメルマガが。

エスティ・ローダー(化粧品メーカー)からでした。

多くの人にとって母の日は辛い日かもしれません。
もし母の日について弊社からのメルマガを停止したければ下のボタンからどうぞ。
通常のメールやお得情報はこれまで通り受け取れます。

おやおやおや?

もしやこれはトレンドなのかな??

最近、色々な方面で色々な人に対して思いやりが叫ばれているじゃないですか。

LGBTの方々に対してだったり、女性に対してだったり、有色人種に対してだったり。

もしかしたら虐待を経験した人もそのトレンドに乗っているのかな?

でもエスティ・ローダー(を取り扱っているの)は大きな会社だけれど、ボディショップほど環境や人権に力を入れているイメージではないような…。

そこで調べてみると、これは昨年から始まった風潮のようでした。

 
 
 
事の発端は3年前にある国会議員が「企業は母の日のメルマガ受信に選択肢を与えるべきだ」と提案したことだそう。

しかし内容を読んだら全く逆の内容でした…!!

その国会議員は27歳の時に両親を亡くしており、父の死から6週間後に母親を亡くしたそうです。

27歳は大人だけれど、先進国で”孤児”になるにはまだ若い―両親の死を受け入れることができず苦しんできたし、今も辛い。
母の日は、イギリス全土で母親がカードをもらったり素敵な朝食を準備してもらったりすることで感謝を示される日。
でもそれは、特定の人々にとっては―私自身も含めてですが、自分が何を失ったかを再確認してしまう日でもあるんです。

そこで身近な人を亡くした苦しみを味わっている人々のため、選択肢を与えてはどうかとの提案でした。

この提案がされたのは2019年の3月ですが、その後起こった新型コロナの蔓延で両親を亡くした人の声が大きくなり、昨年からいくつかの大きな企業が母の日関連のメルマガ停止選択制を開始し始めたそう。

ある企業のデータでは約1割の人が母の日関連メルマガの停止を希望したそうで、その需要を見て今年はより多くの企業がメルマガ停止選択制を取り入れているのかもしれません。

 
 
 
イギリス風に言うと”Oops…!!”

母の日関連のメルマガを見て辛い人たち、っていうのは愛情にあふれた母親のもとで育った人たちってことじゃないの!!

私が思ったのと真逆、正反対。

先ほど、

「辛い経験を思い出さなくていいんだ」

と書きましたが、それだけではないんです。

今でも私を殺そうとする母親が夢に出てきます。

逃げても当たり前のことを私はされてきたんだ、と頭ではわかっています。

でも逃げたことに対して、どこかに罪悪感があります。

これは日本独特のことかもしれませんが、何があっても親は親、親を捨てるなんて、という世間の目にまだ洗脳されているのかもしれません。

今こうして書いているだけでも、キューッと心臓が痛くなってきました。

色々な本を読みましたし、短期ですがカウンセリングも受けてみましたが、幼少期から長年にわたって受けてきたトラウマはなかなか乗り越えられません。

真正面から向き合ってきたけれど克服が難しいので、今はできるだけ忘れるようにしています。

だから母の日に関することを目にするのは辛いです。

先の国会議員が

「母の日についてのメルマガを目にすることが(悲しみの)トリガーになる」

とも言っていましたが、私にしてみればそれこそ”トラウマを思い出すトリガー”です。

蓋を開けてみれば、まさかのまったく正反対。

人と人っていうのは、やっぱり話してみないとわかりませんね。

私が自分の体験から

「わぁ、トラウマ経験者を思いやっての取り組み!?」

なんてすぐに考えてしまったように、”大好きなお母さんを亡くした”派の人にとっては、まさかそんな理由で母の日を思い出したくない人がいるなんて思いもよらないかもしれません。

 
 
 
日本では母の日関連のメルマガ停止、という風潮はあるのかな?と調べてみましたが、さすがに見つかりませんでした。

イギリスでのこの風潮は”大好きだったお母さんを亡くした悲しみ”に基づいたハートフルなものですが、その真逆の位置で母の日についてのメルマガを停止できてほっとしている私のような人間がいます。

もしこの記事を読んだ日本の方が、”お母さんを亡くした悲しみ”とともに”鬼のような母親を持ってしまった悲しみ”を持つ人々のことも少し理解してもらえて、家族と縁を切った人や親の介護をしていない人などに批判的な目を向けないでいてもらえたら嬉しいなぁと思います。

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