ロックダウン中に営業する店

密のカフェにてマスクなしの人々

数日前、BBCにてこんな記事が上がっていました。

イギリスのマンチェスターにて、とあるカフェがロックダウン中にも関わらず営業。

満席の店内にはマスクなしでひしめき合う客たち。

そこで警察官がオーナーをパンチしたというのです。

記事内には動画もありますが、すでに揉み合っているところから始まっているし、なにせモザイクが大きすぎてよくわからない…。

 
 
 

そこでこんな動画を見つけました。

昨日の時点でもっと画質が良くて、最初の13秒のよくわからないシーンなどない動画もあったのですが、暴力を含むからかいずれも年齢確認が必要な動画になってしまっていました。

上の動画も年齢制限が掛かって普通には見られなくなってしまうかもしれません。(そうなっていたら、どうかコメント欄などでお知らせください!)

この動画はモザイクがかかっていないものの、やはり前後関係がよくわからない。

これだけで「悪徳警察官」という判断は下せない。

 
 
 
さらに検索を続けると、見つけた15分超の動画。

最初の3分半は店内の様子が撮影されています。

再生してビックリ、狭い店内に本当にマスクなしでひしめきあっています。

私は正直、このシーンを見ただけでも腹が立ちました。

みんなが我慢してステイホームしてるっていうのに…!!

こんなに密な空間で、マスクもなしに、しかも子連れで来てるファミリーまでいやがる。

なんなんだ、こいつらは。

自分勝手にもほどがある!!

こんなカフェのオーナーをパンチしたくなる気持ちもわからないではない。(かと言って、実際に無抵抗の人を殴るのはダメですよ!)

 
 
 
3分30秒くらいに警察がオーナーを連れてお店の外へ出ていく。

厄介な警察が帰るぜ!とばかりに、拍手をする店内の客たち。

この動画を撮影している男は
「出てけ、出てけ!」
と警察に向かって叫んでいます。(この男が本当に厄介で腹立つんだよなぁ~!)

ちょうど警察の背中で肝心なところが見えないのですが、手錠をかけようとしたところ、オーナーが抵抗した様子。

別の警官がオーナーを取り押さえ、件の警察官が再び手錠を掛けようとするけれど逃げ回るオーナー。

撮影者が厄介なのは4分05秒。

警官が手錠を掛けようとしている段階で
「おい!何やってるんだよ、なんで彼を殴るんだ!!」
と叫んでいます。

警官はオーナーを殴ってなどいません(まだ)!!

オーナーが警官を押し飛ばして逃げ回らなければ、警官たちも落ち着いて手錠を掛けて終わったのではないかと思えます。

警官が手錠を掛けようとしている時はまだ数人程度しか周りにいない。

大多数の人達は何が起こっているのか、見えはしないけど「聞こえている」状態。

そんな中、まだ何も起こっていないのに
「なんで殴るんだ!?」
と叫ぶのは、本当に悪質。

こいつ(動画撮影者)が無責任に煽った一言で、店内にいた客たちもわらわらと外に出てきます。

4分10秒辺りで(見づらいですが)オーナーが警官を思い切り突き飛ばしているのが見えます。

そこで警官もパンチで応酬。

しかしニュースサイトにある動画や多くのYoutube動画が、警官がパンチしたところだけを切り取って見せています。

私は普段、弱い方(ここでは一般市民)の肩を持ちたくなる性質ですが、これは警官がかわいそうです。

Black  Lives Matterの影響なんだか、そういった動画では
「警官=悪」
「市民に正義を!」
的なコメントが多く見受けられるけれど、国中がロックダウンしてる中、ルールを破って営業し、逮捕されそうになったら逃げ回るオーナーが正義とでも言うのでしょうか。

しかもこのオーナー、この日だけでなくロックダウン中ずっとカフェを営業していたらしく、SNSでは
「コロナのプロパガンダ(政治的宣伝)は我々には効きません。通常通り営業するし、ここではマスクも必要ナシ。」
と投稿していたらしいです。

そこまで堂々とやってたなら、最後にジタバタ抵抗すんなよ…!!

コメントの中には
「こうでもしなきゃ、オーナーはどうやって生きていくんだ!」
「なんでマクドナルドは営業できるのに彼らは駄目なんだ!?」
なんて書いているバカがいましたけど、カフェやレストランはお持ち帰りでの営業が可能です。

マクドナルドも然り、店内で食べることは出来ないけど、お持ち帰りやウーバーイーツで営業しています。

しかも日本とイギリスは補償が全然違います。

日本で「補償もないのに自粛要請」されている飲食店の方たちであれば、
「どうやって生きていくんだ!?」
もわかりますが、イギリスは全然違うんですよ…!!

イギリスでは営業ができなくなった飲食店や小売店は、
毎月、最大42万円の補助
毎月、従業員への給与80%を政府が肩代わり
さらに1店舗につき日本円で56万円から126万円が支給

というような、手厚い支援に守られています。

まさか補助受けてるのに営業してたとしたら、パンチどころじゃ済まないんですけど…!? 

 
 
 
…と私が思うのとは裏腹に、YouTubeのコメント欄にはオーナーを応援する書き込みでいっぱい。

全てが映されている15分の動画ではなく、警官パンチシーンのみの動画のコメント欄です。

うーん、パンチシーンだけでそんな判断しちゃう…?

あまりに応援コメントが多すぎてびっくりです。

応援と言うよりは、ロックダウンに飽き飽きしていて
「他のお店も営業再開すべきだ!」
というようなコメントが多いのですが、そういう人が多いこの国だからこそ、日本の約半分くらいの人口なのに死者11万人(2021年2月現在)なんて数字を叩き出してしまうんじゃないかと思ってしまいます。

ちなみに国別死者数ランキング(2021年2月半ば現在)

1位 アメリカ 48万人(人口3.2億人)
2位 ブラジル 23万人(人口2億人)
3位メキシコ 16万人(人口1.2億人)
4位 インド 15万人(人口13.5億人)
5位 イギリス11万人(人口6千万人)

わかります?人口に対して、圧倒的に死者数多すぎ!!

 
 
 

イギリスの補償事情同様、日本の方はロックダウンがどういったものなのかもピンと来ないだろうと思います。

★開いているお店はスーパー、お持ち帰りの飲食店、生活必需品のお店やサービス(薬局・郵便局など)のみ。

★外出するのは基本的にスーパーへの食糧調達のみで、飲み会やお食事会などもってのほか!

★毎日家にいるから、献立が大変~~~。

 地味~~~に聞こえるかもしれないけど、結構なストレスですよ。

 一人だったら何でもいいけれど、家族がいると大変ですよね。

 主婦の皆さん、わかってくださるでしょう!?

★私は幸運にも歩いて行ける距離に日本食材店があって本当に良かったけれど、近所にない人は日本食すら食べられない生活。

 
★服もバッグも靴も手に取ってから買うことは出来ないし、外に出る機会自体ないから、まず買う気すらなくなる。

★メイクグッズも然り。

★昨年、ロックダウンが一時解除されたときも洋服の試着はできなかったので、もしサイズが合わなかった場合の返品を考えると面倒でますます買えなかった~!

 
★美容室・床屋ももちろん閉店してるから、髪は伸び切ってボサボサ。

★男性の場合は無人島生活をしているような髭もじゃになってる人多し。

★1回目のロックダウンの時はせめて髪の毛を定期的に自分で染めていたけど、誰に会う訳でもなし、なんなら髪の毛傷んじゃうしとすっかり放置。

★メイクもしてなさすぎて、いざやろうとすると忘れている(これには自分でも驚きました、こんなに長い間メイクしないでいた事は初めて!今気づいたけれど、今年はまだ1回もメイクしてないかも…)。

★去年のロックダウン以降、友人に会ったのは数えるほど。

★同居していなければ、家族ですら会うことが出来ない。

 
★病気も大変、まず医者にはほとんど会えない。

 問題があれば、電話での問診。

 実際に見なくちゃわからない症状はビデオコールで対応。

 ロックダウン中にパートナーが救急車で運ばれる事態になったけれど、本人以外は病院へ行けないから付き添うことも出来ず、不安で仕方なかった。

 この件に関しては、こちらの別記事に詳しく書いています。

★昨年末に出産した友人も、旦那さんが分娩室にいることも叶わないし、旦那さんが赤ちゃんに会えたのも何時間も後だったとのこと。

 
★みんなが家にいるから、ご近所さんの騒音が止むこともない。

 はたまた反りの合わない人たちとフラット(ハウス)シェアしている友人にとっては地獄のような日々。

 
★恋人がいない友達は出会いの場もないので、マッチングアプリ三昧。

 彼女いわく
 「今までだったらアプリで出会えなかったような人たちも、ロックダウンのおかげでマッチングアプリを使ってる!」
 らしい。

 しかしマッチングしたところで…ロックダウンが解除されるまで会えない。

 会えたとしてもソーシャルディスタンスを守らないと。

 この友人は、秋口にロックダウンが解除されたときにマッチングした人と会ったけれど
 「(ソーシャルディスタンスのせいで)近付けないからつまらない」
 と振られてしまいました…。

 (そんな男、下心しかないじゃん!ソーシャルディスタンス上等!!と励ましましたが、彼女は落ち込んでいました…。)


★多くの人がロンドンから去った。

予定していた仕事がなくなってしまって滞在できなくなったり、大学の単位が全てオンラインで取得可能になった由に母国に帰国したり。

給与の80%を受け取っていたとしてもステイホームに耐え切れず母国に帰る人も多いです。

 
★結婚を予定していた人たちも軒並みキャンセル。

こちらでは日本のように婚姻届1枚出せば完了!ではなく、結婚したい旨を役所に届け出(要予約)⇒一定期間、異議申し立てがなければ結婚(役所や結婚式場で婚姻儀式)という流れで、今は役所自体が第一段階の結婚したいという届け出を受け付けていない状況です。

 
 
 
長々とロックダウンの実態を書きましたが、こんなに、こんなに大変だけどみんな我慢してるのに。

マスクもなしで狭い店内にひしめきあっていた人たちを見て、怒りを覚えるのもわかってもらえるでしょうか?

 
 
 

もう1つ言いたいのは、15分の動画を見た方はお気づきかと思いますが、なにやら英語ではない言語で撮影者が話していますよね。

これ、ポーランド語なんです。

イギリスには経済の芳しくないヨーロッパ諸国から出稼ぎに来る人が多くいますが、その中で群を抜いているのがポーランド。

2017年にはイギリス在住のポーランド人は100万人を超えたそうです。

日本に住んでいる在日中国人が97万人、在日韓国人が82万人らしいので、日本の半分の人口のイギリスで100万人のポーランド人はかなり存在感のあることをわかっていただけるでしょうか。

そのため、イギリス人からポーランド人に対する不満はちょいちょい見かけます。

「あいつら(ポーランド人)のせいで、俺たちの仕事が奪われてる!」

だけど実は私はこの件に関してはポーランド人派。

大半がポーランド人の職場で働いたこともあるし、どこの職場にも1人はポーランド人がいたりします。

彼らと働いたことのある経験から私が抱くポーランド人のイメージは、基本的に真面目で働き者だということです。

イギリス人はおろか、西欧諸国やアフリカ、南米出身の人たちはお気楽・のんびり・ケセラセラ!(なるようになるさ!)的な人が多い気がするんですよね。

友達としてはいいけれど、同僚となると
「働けよ!怒」
と言いたくなってしまうような。笑

ポーランド人は真面目に働くし、誠実な人が多い気もします。

だから
「あいつらのせいで…」
なんて文句を言ってる輩に対しては
「それならポーランド人に負けないくらい働けよ!」
と思ってしまいます。

特にイギリス人は言葉に問題もないわけだし、なぜ自分は採用されないのか、振り返ってみた方がいいんじゃないかと思うのですが…。

 
 
 
…本題に戻りましょう。

件のカフェオーナーがどうやらポーランド人だった様子。

だからおそらく客もポーランド人が多かった。

だけど考えてみてください。

もし日本がコロナで自粛中、みんな苦しみながらも夜8時で営業を終えている中、平気で深夜まで営業を続ける外国人経営のお店があったら。

私、相当腹立つと思うんです。

中国人、アメリカ人、韓国人、ブラジル人…どの国の人だったとしても
「他人の国で何やってんだよ!?」
「この国のルールに従えないなら、自国に帰れよ!?」

と憤慨すると思います。

しかもポーランド人はイギリスの一部の人にすでに敵視されている人たち。

どうしてこんなことするんでしょう。

この15分の動画にあるポーランド語のコメントは、カフェオーナーに対して否定的でした。

同じポーランド人だからと一緒にされたくない気持ち、わかります。

そして15分の動画の最後の方(と一番最初に一瞬チラッと)に撮影者の顔が出てきますが、見てびっくり、

おっさんやないけ!?

常識のない、若いポーランド人かと思ったら…酸いも甘いもかみ分けてきたようなおっさん…!!

こんなおっさんが煽ってたとは!?

おっさんでいまだにこんなことやってるなんて、絶望的だわ…。

で、オーナーが警察を突き飛ばすところがしっかりと映ってるし、撮影者自身もマスクせずにルール違反を犯していたのに、顔出しでYouTubeにアップしちゃうのは…「愚」だね、「愚」!!

 
 
 
この記事にてチラッと登場した、「フェミニストでフルータリアン(果実食主義者)の自己主張が激しいお姉さま」がこのカフェオーナーと似ていて、去年
「あなたたちはコロナというプロパガンダを信じていればいい」
と捨て台詞を残して、居住者たちのグループチャットから抜けてしまいました。

ちなみにこのお姉さまも東欧出身。

疑問を持つのは大切なことだし、多勢の意見に同調しなくたっていい。

だけど新型コロナに関しては、みんなで協力していけないと感染が止まらない。

いつになったらロンドンで普通の日々が戻ってくるのかなぁ、この国には平穏な日々など戻らないんじゃないだろか?と思う日々です。

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