遂に宗教アレルギーの話も⑤まで来てしまいました。
今回の話は怖いのであまり人に話していません。
それをネットで公開なんてもっと怖いのですが…こんなこともあるんだということを知ってほしいので書きます。
以前、同じフラット(アパート)に住んでいたフラットメイトで東欧出身の男性がいました。
彼は10代の頃に初めて付き合った女性に裏切られた経験があり女性不信でしたが…純真無垢な私だからですかねぇ…なぜか私には信頼を寄せてくれていました。(単に女性扱いされてなかっただけ!?)
そしてこのフラットメイトの弟さんがこちらの記事の最後で紹介した、若干問題児の弟なのですが、私のフラットメイト自身はしっかり働いて弟を更生させようとサポートしているお兄さんでした。
時々、女性不信から来るのかやや女性軽視の発言があったり、若干けんかっ早いところがあったりもしましたが、彼は4か国語を話せる切れ者で、昔、大企業のHPを簡単にハッキングしてしまったというくらいコンピューターにも精通してるようでした。
さらに彼のお母さんが母国からやってきて1か月ほど滞在することもあり、お母さんは毎日、朝早くからフラット中の掃除をしてくれて(恐縮!)ほぼ1日中料理していました。
もちろん息子のために料理しているのですが、言葉は通じないながらも私を含む他のフラットメイトたちにも親切にしてくれて、しょっちゅう手料理を食べさせてくれました。
お返しにと私もお好み焼きを作ったのですが、「ソースが甘すぎる」となんとも忖度のないお母さんだったことは…忘れておきましょう。涙
彼のお母さんはシングルマザーで、息子二人の父親は中東出身の医師だったそうです。
息子たちが小さい時は普通に親子4人で暮らしていたらしいのですが、ある時、父親が母国へ一時帰国した際、なぜか帰ってこられなくなってしまったそうなのです。(詳しいことは私にはわかりません!)
フラットメイトとその弟は東欧で生まれ育ちましたが、父親が中東出身だったため、彼らはキリスト教とイスラム教の名前を両方持っていました。
私がその家から引っ越した後も当時のフラットメイトたちと時々集まったりしていましたが、段々とロンドンから一人去り、二人去り、結局ロンドンに残ったのは私とそのフラットメイト(とその弟)だけになりました。
ある時、そのフラットメイトから会いたいとメールがありました。
彼とはしばらく連絡も取っていなかったし、最後に会ったのは1年以上前でした。
実は当時の私はとんでもない悲劇に見舞われていたのですが、彼はそんなことを知る由もないので無難に
「OK、いつがいい?」
と返しました。
すると間もなく
「ごめん、こんな時に会おうだなんて間違いだった。君はいい人だ、このままでいた方がいい。元気そうで嬉しいよ。身体に気を付けて。」
というような内容の返信が。
”こんな時に”というのが少し気になりましたが、私はとにかく彼が知る由もない悲劇に見舞われていたので、”元気そうで嬉しいよ”により引っ掛かってしまいました。
私は今、元気どころじゃないんだけど…!!
何をもってこの人は私が”元気そう”だと言うんだろう?
”このままでいた方がいい”というのも…意味不明。
もし自分が普通の状態だったならもう少し彼の事を思いやれたかもしれませんが、当時の私にはそんな余裕はありませんでした。
それでもその2週間後くらいにたまたま以前のお家の近くへ行く用事があったのでついでに寄ってみましたが、ベルを押しても誰も出てきませんでした。
彼の携帯に電話してみると、彼の番号は通じなくなっていました。
私がその知らせを受けたのは、事の起こった数か月後でした。
会おうと連絡が来た1か月後に、彼は亡くなりました。
自死でした。
本当に驚きました。
ショックでした。
自死を選んだ人間の周囲の人がみんなするように、私も自分を責めました。
彼の弟さんはショックが大きくその話ができませんでしたが、言葉の通じない彼のお母さんから翻訳ツールを介して聞いたことはもっとショックでした。
彼は女性不信でしたが寂しがり屋のところもあり、しょっちゅうアプリなどで見知らぬ人とチャットしたりしていました。
ある時、彼のスカイプに見知らぬ女性からメッセージが届いたそうです。
しょっちゅう見知らぬ人とやり取りをしている彼は、気軽な気持ちでその女性と話し始めたそう。
それが段々とその女性に入れ込み始め、彼はすっかり変わってしまったらしいのです。
最初の頃は良かったらしいのですが、時が経つにつれ奇妙なことが起こるようになったそうです。
けんかっ早いところのある彼はボクシング経験があり180㎝を超えるガタイをしていましたが、突然道で男たちに襲われて血だらけで帰ってくることがあったり。
ノイローゼのようになり、これまで持っていた服は全て捨てて黒い服しか着なくなり、自分の部屋も全て真っ黒に塗ってしまうほどに。
突然爆音量で音楽を流したかと思えば、ものすごい勢いで泣き叫んだり。
頭が良くて意地悪な発言もする、なんだったら生意気なイメージさえある彼が泣き叫ぶなんて、私には信じがたいことでした。
彼がそんな風になってしまったので、お母さんがやってきて3か月ほど一緒に過ごし、彼が落ち着いたように見えたので帰国したそうですが…彼が私に連絡してきたのはちょうどお母さんが帰国した頃でした。
スカイプで彼に話しかけてきたこの女性が何者なのか、なのですが。
お母さんいわくチュニジアだかアルジェリア出身のイスラム国の人間だと言うのです。
最近はニュースで聞く機会が少なくなりましたが、そうです、あの過激な「イスラム国」です。
イスラム国は、ネット上で兵士をスカウトしているそうなのです。
彼はキリスト教だけでなくイスラム教の名前も持っていたので、スカイプでターゲットになってしまったのでは、とのことでした。
彼は半分洗脳されかかり(=彼女に入れ込んでしまった)イスラム国から何か役割を与えられたそうなのですが、それを断った時から脅迫が始まったそうです。
彼のスマホには死の直前にただただ泣いている動画が撮影されていたそうです。
彼のお母さんはこれは自殺ではなく他殺だと言っています。
彼を脅したり襲ったりした男たちが、その夜、彼の家にやってきて彼を連れ出し、自殺するよう強制したというのです。
彼は死の1週間前にお母さんへ自分のパソコンのパスワードを知らせていました。
お母さんはそれがパソコンのパスワードだとはその時は気付いていませんでしたが、彼は自分に何かあったらパソコンに全てあると言っていたそうです。
しかしイスラム国の女性はすでに彼の家のスペアキーを勝手に作っていたらしく、彼の死からまもなく、彼の弟が何者かが彼の家から走り去っていくのを目撃したそうです。
急いで家の中へ行くと彼の部屋が荒らされていて、パソコンのハードディスクが抜かれていたそうです。
警察にも行ったそうですが、証拠不十分で取り合ってもらえなかったとのことでした。
私が知らせを受けたのは彼の死からすでに数か月が経った後で、弟さんでさえ既にロンドンから去ってしまった後でしたが、証拠を見つけるのは警察の役割なんじゃないの!?と思い、私も警察に出向きました。
ロンドンには至る所に監視カメラがあるはずだし、なにしろ彼から直接話を聞いていたお母さんや弟さんの証言自身が証拠になるのではないか。
しかしこういったことは家族じゃない人間ではもっとダメでした。
今から思えば「こんな時に」「このままでいた方がいい」などのメッセージは、一度は会いたいと言ったものの、私が巻き込まれることを防ぐために彼が守ってくれたのかもとも思えました。
しばらく会っていなかったのに、死の数週間前に連絡をくれた彼。
書けばきりがないですが、後悔や罪悪感、いろいろな気持ちが今も入り混じってこの記事を書くのも楽ではありません。
この事があって、イスラム国の人間がどのように兵士という名の鉄砲玉をスカウト・洗脳するかのマニュアルも読んでみました。
英語では比較的簡単に検索することができます。
まずは知り合いになる、そして次の段階では決してその人間を否定せずに話を聞く・聞く中で人間性を吟味する、毎日連絡を取る、困っていることを助けてあげる、さらに最も効果的なのはランチに誘う・贈り物をする、など事細かに書かれています。
人間性としては臆病者やケチ、おしゃべりなどは相応しくないとされていました。
この段階を3週間を経たところで、チェックポイントを確認します。
鉄砲玉(候補)がもっと会いたがっているか、プライベートなことを打ち明けたか、自分のアドバイス・ひいては命令を聞くようになっているか、愛していると伝えてきたか、など。
このチェックポイントが全くふるわないならば別の鉄砲玉を探せ。
全てイケてるならば正しい選択だった、近しい関係をキープしろ。
中間ならばこの過程をさらに1か月続け、支配できるよう努めろ。
しかし全てイケていたとしても、次の3つが揃わなければ安全ではない ー 鉄砲玉が24時間をどのように過ごしているのか全て把握すること、鉄砲玉の親しい人間関係を全て把握すること、弱点を掴むこと。
これらが全てうまくいけば次の段階、これには2か月~それ以上がかかるとされており、これが上手くいけば更に最終段階へと進むと書かれています。
いずれもかなり詳細な手順で、折に触れてチェックポイントがあり、注意深く進めるよう指示されています。
女性不信だった彼はまるで試すかのように女性軽視や意地悪な発言をするところがあったけれど、それがゆえに女性から敬遠されてしまうこともありました。
今から思えば彼の意地悪な発言は愛情への渇望の裏返しで、それがゆえにそのスカウト女性に入れ込んでしまったのかもしれません。
チェックポイントにあった「愛していると伝えてきたか」なんて、まるで美人局(つつもたせ)のやり方じゃないですか。
特に彼は女性をいつも疑っているような人だったので、そんな彼さえ洗脳してしまったこのマニュアルが恐ろしいです。
これを読んでいる方々は遠い異国の話だと思うかもしれませんが、私にとってもイスラム国なんてニュースでしか見ることのない、自分には関わりのない話だと思っていました。
魔の手は身近に迫っていることもあります。
みなさん、どうか気を付けてください。
この記事を書くにあたって、久しぶりにこのスカウト(洗脳)マニュアルを再読したのですが、ここで気付いたのが宗教アレルギー④にて書いたキリスト教のNo2さんが私にしてきたこととかなりかぶってるということ。
毎日連絡を取る、困ったことは助けてあげる、ランチに誘う…。
あぁ、やっぱり宗教はダメだ…。
新興宗教・伝統的な宗教は関係ありません。
なんだったら今は、熱心なベジタリアン(ビーガン)の人たちにさえ信心深い人たちと似たバイブスを感じます。
このフラットメイトの死があって、私は輪廻転生は信じたいと思うようになりました。
せめて「彼は生まれ変わる」「次の人生はもっと楽しく過ごせますように」と思わないと自分が辛いからです。
でも自分が信じたいから信じるけれど、輪廻転生は本当にあるのかと問われるとそれはわかりません。
それを信じない人がいても責める気持ちは全くないし、信じさせようと説得する気も全くありません。
でも普通に会話している時点で「ジーザスが…」とか「アッラーが…」とか「動物愛護が…」なんて出てくるような人はやっぱり危ないんですよね…。
そういう人は自分の「正義」を人に押し付けてくる可能性が高い気がします。
自分にとっての「正義」が万人にとっての「正義」とは限らないのに。
これを念頭に置いて、おのおのの考えを尊重すれば、宗教や文化の違いによる対立は今よりずっと少なくなるはずなのに。
そういえば、ユダヤ教についてはリソースが少ないのであまり触れていませんが、ユダヤ人の多く住む地域に数年住んでいた経験からすると、男女ともに身に着ける衣服が決まっており、女性はイスラ教のヒジャブ(ヘッドスカーフ)の代わりにかつら着用。
イギリスのロンドンという土地でも彼ら専用のスーパーやレストランがあり、常にユダヤ教の人間としかつるまない(服装からわかります)、道端ですれ違う際に少しぶつかられたりしても無視される事も多かったので、非常に閉鎖的なイメージがあります。
でも彼らのスーパーへ勇気を出して足を踏み入れてみた時は少しビックリ。
スーパーの案内に「寿司商品」なんてコーナーがありました。
このユダヤ人用スーパー自体が割高ではあるのですが、寿司関連の商品も割高。
でもお醤油一つ取っても「通常のお醤油」「減塩醤油」「(ご飯にかけて食べる用の)甘い醤油」「たまり醤油」「グルテンフリー醤油」などかなりの種類が。
わさびや焼きのり、すし酢なども数種類の中から選べます。
下記の写真、左手には日本でおなじみの味ぽんすら販売しています。
イギリスの大手スーパーでもここまでの品揃えはまずありません。
話が横道にそれましたが、ユダヤ教の人々は少し日本人と似ている気質があるのかもしれないと思いました。
日本人もよく外国人に閉鎖的と勘違いされていることが多い気がするけれど、食卓に多くの国の料理が並ぶ日本人って好奇心旺盛で実はオープンだと私は思っています。
スーパーに寿司コーナーがあったくらいではわかりませんが、宗教という縛りがなかったならもっと仲良くなれる人たちだったかもしれません。
長々と5回にわたって書きましたが、これ以外にも無料ヨガクラスでのこんな経験もあったりして、私は今や完璧な宗教アレルギーです。
①でも書いているように、今は日本がおかしなカルト団体の食い物にならないことを願うばかりです。
コメント