大麻(マリファナ、ガンジャなど)について主に書いている①
ドラッグ(ヘロイン)中毒者、ジョニーについての前半②
ドラッグ(ヘロイン)中毒者、ジョニーの治療などについて③
ジョニーとの英語のレッスンは、彼の涙の告白から自然消滅してしまっていました。
しかし友人として彼のリハビリをサポートしていたので、以前よりも連絡は密になっていました。
そんな中、ジョニーの目つきがいつからか変わったように感じました。
異性としてのそれで、私の唇をじっと見つめていたりするようになりました。
ジョニーはゲイのはずなのに…?
元々ジョニーの同僚だった友人と会う機会があり(友人はジョニーがヘロイン中毒者だということは知らない)、彼女にジョニーはゲイなんだよね、と念押しをすると。
「ええ!?ジョニーはストレート(異性愛者)だよ!?」
と…!!
その場には彼女の誕生日パーティに来ていた彼女の妹もいたのですが、その妹も
「え、ジョニーはゲイだって言ってたじゃない!」
と驚いた様子。
確かにその友人は英語が中級程度で、聞き取れなかったりした場合にも笑いながら「イエス、イエス!」と言ってしまうところがありました。
しかしまさか、ジョニーがゲイじゃなかったとは…!!
愕然としました。
唇を凝視しているように感じたのは、気のせいじゃなかった…。
私からジョニーへのサポートは、私にとってみればいわば女同士の友情のようなものでした。
言うならば困っている後輩の女の子を助けているような。
ジョニーの目つきが変わってから、何度か
「君の家でお茶ごちそうになりたいな」
と言われましたが、目つきの変化に何かを感じていた私はなんとなく断っていました。
でも私の勘違いかもしれないし、それまでと同じ態度で接するよう、気を付けていました。
そんな頃、ジョニーが
「僕のお母さんからだよ」
と私にプレゼントを渡してきました。
なぜ彼のお母さんが私に?と疑問に思っていると、照れながらジョニーが言いました。
「お母さんに君は僕の彼女だ、って言っちゃったんだ。」
!!!!!!!!!!!!!!!
いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!!
驚愕しました…!!
もうこれまでと同じように接することはできません。
私は何度もジョニーに説明しました。
あなたを助けているのは、友人として・英語の先生としてであって、恋愛感情からではない。
私がそう言うと
「うんうん、わかってるよ!」
と答えるのですが、日が経つにつれジョニーの態度に変化が。
私が電話に出られなかったりすると激怒し、
「男といるのか?」
と問い詰められたりするようになったのです。
仮に私が男性といたとしても、ジョニーに何か言われる筋合いはないのに…!!
そして私が電話に出ないと、ジョニーは友人の携帯を借りて電話してきたり、母国にいる親族に頼んで私に連絡してきたりと、手に負えなくなっていきました。
もしジョニーに薬物の問題がなければ、相手にする必要はなかったでしょう。
しかしヘロイン中毒者だと涙の告白を受け、助けを求められてサポートし始めてしまった。
この時はまだ、これで連絡を絶ってしまうのはどうにも無責任な気がして、なんとかジョニーに友人以上の気持ちはないことをわかってもらおうと説得していました。
そんなある日、女友達と会っていると、またジョニーから着信の連打が入っていました。
メッセージにも罵り言葉がたくさん入っています。
私は途方に暮れていました。
すると女友達が
「私が言ってやるわよ!」
とジョニーの着信に出てしまいました。
彼女は口が達者で気の強い女の子です。
「あなた、ジョニー?私はノゾミの弁護士よ(もちろんウソ)。もしノゾミと話したいのなら、これ以降は私を通してちょうだい!」
これがジョニーの神経を逆なでしてしまいました。
弁護士とはどういうことだ、ビッチどもが!
これからは夜道を歩くとき、気をつけろよ。
お前に会ったら顔が変わるまで殴ってやりたい、切り刻んでやりたい。
待ちきれないよ。
こういった脅迫・罵倒のメッセージが何件も何件も届きました。
ジョニーは私がどこに住んでいるのかハッキリとは知らないけれど、なんとなくこの辺りという見当はついているはずです。
夜に帰宅する時に怖いのはもちろん、近所のスーパーへ買い物に行ってもジョニーと同じような小さくてやせっぽちの影を見るだけで怖くて、人通りのある表通りを歩いて自宅とは逆方向へ向かったりしました。
ジョニーからの電話に出なくても脅迫のメッセージが届くので、外に出ることさえ怖くなっていきました。
そして結局は、ジョニーの神経を逆なでしてしまった女友達が警察に通報しました。
私自身は警察に行くことすら怖くてできなかったのですが、彼女はおそらく責任を感じて通報し、私は警察から女友達の言っていることが正しいのか証明するよう、着信履歴やメッセージの提出を求められました。
かなりの数の証拠があったので、警察からジョニーへ警告の連絡が行き、それ以降、着信の連打は止まりました。
しかし着信の連打や脅迫が止んでも、暗闇に見える影に怯えてしまうことは変わりませんでした。
数か月後の私の誕生日にメッセージは来ましたが、スルーしました。
更に数か月後、ジョニーの誕生日の数日後に怒りのメッセージが届きました。
「なんて人間なんだ、俺の誕生日にもメッセージをくれないなんて…!!」
こここ、こわい…!!もちろんスルー。
今は私も引っ越して、ジョニーがまだロンドンに住んでいるのかどうかも知りません。
でも今でも時々、ジョニーに似た背中を見かけるとぞっとします。
大変な目に遭ったけれど、私も簡単に介入してしまったことを後悔しています。
ジョニーの家族でも恋人でもなく、短く浅い付き合い程度の私がサポートなんて出来るわけがありませんでした。
冷たいように見えるかもしれないけれど、薬物やアルコール中毒は素人の手に負えるものではありません。
家族や恋人・古くからの親友など、自分にかなり近い人でない限り、簡単に関わるのはやめた方がいいと思います。
自分が傷つく可能性はもちろん、中途半端に関わることで中毒者のことを傷つけてしまう可能性だってあります。
薬物中毒はお金持ち・貧乏人は関係ありません。
道行く人に小銭をねだってそのお金でドラッグを買うホームレスのような人もいれば(ニュースでロンドンのホームレスで1日に3万円稼いでいる人もいると読んだことがあります。)、イギリス有数の大企業・創業者の息子でコカイン中毒の人もいました。
ホームセンターで早朝から働いている、近所のお姉さんが実は薬物中毒者のリハビリに通っていたなんてこともあったりしました。
ジョニーの件以降、私はドラッグ中毒者に必要以上に関わらないようにしています。
挨拶や世間話はするし、その人の事を嫌っているわけではないけれど、深入りもしない。
私は彼らを助けられないし、彼らを不要に傷つけたくもない。
長々と4回にわたって、大麻やドラッグにまつわる私の経験を書きました。
これがイギリスの話ばかりだと思ったら大間違い。
詳しくは書きませんが、日本でも大麻やドラッグを摂取している人が身近に潜んでいたことがあります。
私が日本を離れて10年以上経ちますから、今はもしかしたらドラッグがもっと身近になっている可能性だってあります。
遠い海の向こうのお話、ではないかもしれません。
タバコも麻薬の一種だと、薬物肯定派の人はよく言います。
最初それを聞いたときは
「何を馬鹿な…!!」
「タバコはドラッグのように脳や精神に影響しないし!!」
と思いましたが、今思うとあながち間違っているとも言えません。
タバコを切らしてしまった時の不安感。
吸えないことでイライラして仕事に集中できなかったり。
不安になったりイライラしたり、というのは精神に影響を及ぼしているとも言えますよね。
精神的ダメージを横においても、タバコが身体に害があるのは誰でも知っています。
お酒も過剰摂取すれば中毒の危険があります。
それでも合法なのは、税金を課すためかもしれません。
大麻を肯定するわけではないけれど、国によっては睡眠障害の治療にも使われている大麻の違反者と、コカインやヘロインなどのハードドラッグの違反者を同レベルで報道するのはどうかと思います。
合法なものは良くて違法のものは悪い、それは当たり前だけれど、合法なものがすべて身体にいいわけでもありません。
私は私のこれまでの経験から、大麻やドラッグの常習者とは距離を置きたいと思っています。
でもあなたの経験は私のものとは違うかもしれません。
ただこの記事中の情報が少しでも誰かの役に立つよう願っています。
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